味噌の底力

味噌は、日本の伝統的な調味料として私達の生活に欠くことのできない食品ですが、その起源は、古代中国の「醤」だと言われています。

「醤」は、魚や獣の肉をつぶし、塩と酒を混ぜて壷に漬け込み100日以上熟成させたもので、また紀元前1世紀頃になると、大豆や雑穀を発酵させた「豉」が作られ、中国・朝鮮半島を経て、日本に入ってきたと考えられています。これらを原型とし、日本人が工夫を加えて独自に進化したものが現在に伝わる味噌だと考えられます。

味噌というと塩分の問題が上がりますが、塩は食文化に深く根付き、それぞれの国や民族の“おふくろの味”のベースとなっています。みそには約5%〜13%の塩が入っていますが、みそ汁にすると食塩濃度が約1%になり、人がおいしく感じるのにきわめて近い数値になります。

また、みそ汁にはさまざまな具が入るので、大豆から発酵の際に生成する「うま味成分」は、低い塩分レベルで料理をおいしくする働きがあります。生野菜やおかゆなどに塩をふりかけて食べるよりも、はるかに塩分を抑えられ、なおかつおいしく食べることができます。

さらに、カリウムやマグネシウムは、血圧上昇の抑制・予防に効果的であり、みそ汁はその摂取源として優秀な食品だといえます。みそ汁にすれば、野菜や海藻を煮る時に溶け出すカリウムや、マグネシウムをそっくりそのまま摂取できます。減塩だけに主眼をおくのではなく、日本の伝統的な食生活のなかで果たしてきたみそ汁の機能を見直し、多過ぎず少なすぎず、適量の塩分摂取を心がけたいものです。

参考資料・みそ健康づくり委員会